C型肝炎ウイルスと肝機能検査

現在、肝硬変と肝臓がんの発症原因となるC型肝炎ウイルス(HCV)の感染者数は世界で1億7000万人を超えるとされています。日本でも約200万人がウイルスに感染していますが、その半数は感染に気付いていないため、治療を受けることなく、病気が密かに進行している状態にあります。

肝臓は「沈黙の臓器」

世界で最もC型肝炎ウイルスの感染率が高いのがエジプトです。エジプトでは古代から腸、肝臓、膀胱に感染する住血吸虫に悩まされてきましたが、20世紀初頭に住血吸虫を撲滅するため1人当たり10回程度の注射を行いましたが、この注射針の再利用でウイルスの感染が急激に広まったのです。1970年代に住血吸虫に対する経口の抗生物質が登場することで、感染拡大はようやく沈静化しました。

アメリカではHIV(エイズ)による死者よりも、HCVを原因とする肝硬変と肝臓がんによる死者数のほうが多く、ウイルス変異の頻度が高いため、HCVに有効なワクチンの生産は難しい状況にあります。

肝炎を発症すると、肝細胞の近くにある星状細胞が活発化して、コラーゲンを放出することで肝臓の繊細な構造が歪められてしまいます。これが肝線維症です。肝線維症が進行すると、肝硬変になり、最終的には肝臓がんを発症します。HCVが肝臓がんを直接的に発生させるわけではありませんが、肝硬変患者の何割かは肝臓がんを発症します。

肝機能障害の有無は、血液中の控訴の量を検査することで簡単にわかるようになりました。肝細胞が破壊されると、GOT/GPT、ガンマGTPが放出されるので、血液中のこえらの量は、黄疸よりも信頼性の高い診断基準となっています。

肝線維症から肝硬変の進行が早いのは、50歳以上でHCVに感染した人、アルコールを接種する機会の多い人(1日に日本酒二合程度)の人です。慢性肝炎を発症しても、元の健康な肝臓に戻すことは可能ですが、肝線維症と肝硬変を発症したら、元の状態に戻すことはできません。健診などで行う肝機能検査の数値には注意して、アルコール摂取は適量に抑えるようにしましょう。