冬はノロウイルスによる集団食中毒に注意

近年、免疫力の弱い高齢者を中心として、全国で集団食中毒が流行しています。腹痛、下痢などを主症状とする急性胃腸炎ですが、成人では下痢が多く、子供では多くなっています。ウイルス感染後、8時間から1日程度の潜伏期間を経て、これらの症状が現れ、3日くらいで回復します。

激しい嘔吐が主症状

感染の始まりはノロウイルスに汚染された牡蠣などの二枚貝を十分に加熱せずに食べることです。ノロウイルスは同じく食中毒の原因菌であるサルモネラ菌に比べて感染力が強力なため、感染者が1人出ると、嘔吐物や便に含まれたウイルスが同じ施設の高齢者や幼児にも感染し、集団感染を起こします。病院や老人ホーム、幼稚園で起こった集団感染をニュースでよく見るのはこのためです、

ノロウイルスは単純な構造で、脂質の膜を持っていないため、ほかのウイルスに有効な塩素、酸、60度の加熱でも死滅しません。ノロウイルスの感染力を奪うためには、85度以上で1分以上加熱するか、次亜塩素酸ナトリウムで消毒しなければなりません。

一度罹ってしまうと二度と罹ることのない麻疹や風疹などと異なり、ノロウイルスは数十種類も存在するため、何度も感染する可能性があります。ノロウイルスに対するワクチンや治療薬は存在しません。下痢で大量に水分が失われるため、水分補給を十分に行う必要があります。

感染力は強力なノロウイルスですが、毒性自体はそれほど強くないので健康な成人が感染しても、症状が全くでなかったり、軽症で済むケースも少なくありません。そのため感染者が感染に気付くことなくウイルスを周囲に広めてしまうことになりかねません。

また、下痢や嘔吐などの症状が治まっても、回復後1週間程度は便の中にノロウイルスが存在するため、こちらも本人がしない間に感染源となっていることがあります。これを踏まえてノロウイルスによる食中毒が流行する秋・冬は特に流水・石鹸による手洗いをしっかり行う必要があります。